みなさまどうもごきげんよう、31等星です。
今回の記事では、博士課程で研究をしている僕が「研究をより捗らせるために学部・修士時代など早いうちからやっておくべきだったなぁ」と後悔していることを7つ紹介します。
基本的には研究に必要だったり役立ったりする能力を綴りました。
僕が今もし学部生時代に戻れるなら絶対にやるであろうことを挙げています。
現在研究をしている学生(若手研究者)の方々の参考になれば幸いです。
以下では個人的に重要だと思う順に並べてあります。
それでは早速。
英語
研究を始めてからまず最初に大事だと感じたのが英語です。
というのも、大学院に入るとゼミが英語になったり、国際学会に参加して英語で発表や質疑応答をこなしたりしないといけなくなるからです。
その時に困らないように、早いうちからリスニングとスピーキングを練習しておくと良いでしょう。
日々研究をしていると英語の勉強に割ける時間はなかなかないので、早めから少しずつ勉強しておくと良いです。
英語の勉強は必要性に駆られないとモチベを保つのが難しいですが、最近はYoutubeやNetflixなどにおもしろい英語の動画がたくさんあるのでそういったツールを駆使して楽しみながら勉強すると良いと思います。
せっかくなので英語のリスニング・語彙・発音を鍛えるのにオススメのYouTubeチャンネルをいくつか紹介しておきます。
- ニック式英会話
日本語ペラペラのオーストラリア人が英語を教えてくれるチャンネル。このリスニングの動画がすごくオススメ。僕はこれを見て発音にハマりました。 - だいじろー
英語の発音メインのチャンネル。発音の練習のための動画だけじゃなく娯楽として見られる面白い動画が豊富です。 - StudyInネイティブ英会話
バイリンガルの女性と非ネイティブの男性が掛け合いながら英語を教えてくれるチャンネル。最近はショート動画が多めですが、僕は初期の頃上げていた英語のイディオムやニュアンスについての長めの動画が好きです。 - Atsueigo
英語を猛勉強してペラペラになった男性が運営するチャンネル。ストイックな姿勢がモチベーションに繋がります。Atsuさんが出してる単語帳(Distinctionシリーズ)は語源からイディオムを学ぶことができて面白いので個人的にはオススメしたいのですが、研究をする人にとってそれほど役に立つものではないと思います。興味があれば。 - ヒコジロー
海外ドラマなどのネイティブの速い英語を聴きとるための動画がメインのチャンネル。上記のチャンネルに比べてチャンネル登録者数は少ないですが、リスニングのトレーニングに有益です。 - NARIKIRI English with Movies
コンテンツの数は多くないですが上記と同様、海外の映画のネイティブの速い英語を聴きとるための動画がメインのチャンネル。こちらもリスニングの特訓に役立ちます。
スピーキングに関しては『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』で勉強していました。
内容は「簡単な日本語を見て中学生レベルの英文をパッと言えるようにする」というものです。
あと一時期はスピーキングの練習のために、家で独り言を英語で言ったり日記を英語で書いたりしてました。
もし大学に留学生がいれば彼らとお喋りするのもスピーキングの練習になるので良いですね。
僕の場合は、周りの留学生が英語を喋れなかった僕に毎日英語で喋りかけてきたので、強制的に英語を喋らされていました。
当時は全然英語を喋れなかったので「話しかけてくるのやめてくれ〜」って日々心の中で思っていましたが、今となっては英語の練習の機会を与えてくれたことに感謝しています。
というわけで研究をする際には英語力が要求されるので、早めから勉強しておきましょう。
勉強法
「英語の次に重要」という体で書いていますが、勉強法を勉強することも英語を学ぶことと同じくらい大事だと思っています。
大学院での研究生活では無限にやることがあるので、効率良く勉強しなければ時間がいくらあっても足りません。
英語を勉強したり、論文をたくさん読んだり、論文の理解に必要な基本事項を復習したりなど(他にも本記事でこれから紹介することなど)、勉強すべきことは盛りだくさんです。
1日の時間は限られているので、そんな生活をこなすには勉強の効率を上げるしかありません。
そのためにも勉強法の勉強をしましょう。
勉強法は以下などの有名な本に詳しく書いてあるので、この辺りの本を読むと良いです。
- 『Learn Better』
- 『脳が認める勉強法』
- 『使える脳の鍛え方 成功する学習の科学』
- 『最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法』
基本的にどれも同じような内容が書いてあるのでどれか1冊だけも読めば十分だと思います。
個人的なオススメは、1番手軽に読めるメンタリストDaiGoさんの書かれたものです。
単に本を紹介するだけだと面白くないと思うので「勉強法の勉強」のエッセンスを一言にまとめておきます。
それは「能動的に学ぶこと」です。
ただ授業を聞いたり本を読んだりするだけの受け身の勉強ではなく、学んだ知識を何も見ずに思い出すようにしたり人に教えてみたりすると脳に知識が定着するみたいですね。
専門分野の周辺知識
早いうちから専門分野の周辺知識を学んでおくと、最先端の研究に触れる時により楽しめるようになると思います。
大学院に入ると他の人の研究の話を聞く(論文を読むことも含め)機会が増えるのですが、浅くても良いのでいろんな知識を幅広く知っておくとその時に役立ちます。
他人の研究内容は自分の専門分野と大きく異なることも多々あるので、その分野の知識がないと話に全くついていけなくなる可能性がありますが、多少でもその分野の知識を知っていれば何となく話がわかるようになります。
僕は学部時代は正直かなり不勉強で全然知識がないまま大学院に進学してしまったので、大学院に入ってからしばらくは他人の研究の話を理解できず全く面白いと思えませんでした。
他人の研究の面白さがわかるようになったのは、知識が増えてきた博士課程の後半になってからのことです。
研究を始める前からもっと専門分野の周辺知識を学んでおいたら、もっと早い時期から他の人の研究の話を聞くのが楽しくなっていただろうになぁと後悔しています。
そうならないようにも、この記事を読んでいる人にはぜひ幅広い知識を学んでいただきたいですね(将来の自分への投資だと思って!)。
周辺知識を学ぶ方法に関しては、地道ですが以下の2つをすれば良いと思います。
- 自分の学問分野の一般向けの本を読む
- 授業終わりなどに教授に質問する
前者に関しては、科学雑誌Newtonやブルーバックスシリーズなどがオススメです。
意外と「一般向け」の割にかなり専門的なことまで書かれていることが多いので、読むのは大変ですが結構しっかり勉強になります(大学レベルの素養がないと読めない「一般向け」の本ってどうなの?って思うことも多々ありますが…)。
後者に関しては、授業で出てくる知識が最先端の研究とどう関連しているのかを教授に質問すると良いでしょう。
せっかく日本では研究者(大学教授)が教鞭をとるシステムになっているので、その研究者だからこそ話せる話題を聞かないのはもったいないです(国によっては講義をする専門の人がいるようです)。
それに大学教授の給料をざっくりと時給に換算すると多分4000円くらいになるので、教授に15分質問するだけで実質1000円分得したことになります。
せっかく高い学費を払って大学に学びに来ているので、どんどん教授に質問して学費の元を取りましょう。
というわけで、浅くて良いので幅広くいろんなことを知っていると研究が楽しくなるという話でした。
余談ですが、物事を理解することは「新しく入ってきた情報が自分が既に知っている知識と結びつくこと」らしいので、断片的な知識があると学習を促進してくれるようです(出典は『読ませる技術 聞かせる技術』です)。
楽しくかつ効率良く研究をするためにも、幅広くいろいろなことを知っておくと良いですね。
こちらのツイートにある「勉強する意義を知るのが大事」という内容がとても同意できます。
可読性の高いプログラミングの書き方
続いては理系の研究では必須の能力、プログラミングの能力です。
研究する人からしたらプログラミングなんて「たかがツール」ですが「されどツール」、バカにできません。
特に実験系でない人は「研究の時間」の大半でプログラミングをすることになるので、プログラミングの上手さが研究のスピードを決めてしまいます。
なので研究を迅速に進めるにはプログラミングを上達させないといけません。
しかし、基本的には誰も「良い書き方」を教えてくれないのがプログラミングの難点です(エンジニアの業界では「コードレビュー」というプログラミングの指導があるようですが、アカデミアでそれを聞くことはほとんどありませんね。もし優しい先輩がいればコードレビューを頼んでみても良いかもしれません)。
プログラミングを始めたばかりの頃は「とりあえず動けば良い」という気持ちでコードを書けば良いと思いますが、慣れてきたら絶対に可読性の高い書き方を学ぶべきです。
プログラミングは1度コードを書いたら終わりではなく必ずどこかのタイミングで読み返すことになるので、読みやすいコードを書いておくとその時がラクになります。
僕はお恥ずかしながら博士1年の途中まで全然綺麗にコードを書けませんでした。
時々それまでに書いたプログラミングのコードを読み返すことがあるのですが、汚すぎて読んでいて気分が悪くなるほどです。
汚いコードを書くとデバッグや変更を時間がかかってしまうので、研究を捗らせるためにも綺麗なコードを書くようにしましょう。
ちなみに僕のプログラミングがマシになったきっかけは『リーダブルコード』を読んだことです。
主にわかりやすい変数名や関数名をつける重要性について書いてあります。
安易に変数名として「i」とか「k」とかを使わないようにしましょう、という話ですね。
サラッと読めるのでオススメです。
他にももう少し深くプログラミングの原則を学びたい人は『プリンシプルオブプログラミング』を読んでみても良いかもしれません。プログラミングの際の心得がたくさん書いてあります。
整理術
アナログ・デジタルの両方で物を整理する方法を学ぶと良いでしょう。
実際の物でもPC内のデータでも、何かを探す時間は無駄な時間だからです(博士1年くらいまでの僕は、PC内のデータ管理が下手すぎて自分が書いたプログラミングのデータや作成した図を探し出すのに毎回10分くらいかけてしまっていました。本当に時間の無駄でしたね…)。
アナログの方であれば机の引き出しの中や本棚の整頓など、デジタルであればPCのデスクトップの整理やデータの管理などをきちんとやりましょう。
アナログでもデジタルでも自分が必要とするものにすぐアクセスできるように、ジャンル毎に適切に分類するように日々意識すると良いと思います。
と偉そうに語っていますが、僕も未だに整理整頓は得意ではありません。
一応昔よりマシにはなっていますが、まだまだ勉強中です。
何か良い方法やオススメの書籍があればぜひ僕に教えてください。
とりあえず『実践!オフィスの効率化ファイリング』は読んでみましたが、
- 使ったものは元の場所に戻す
- 必要なものと不要なものを分ける
- 毎日少しずつ片付ける習慣をつける
などと、割と当たり前なことが書いてありました。
整理術は何か特効薬があるわけじゃなく、日々散らかさないように意識することが何よりも大事ということなんでしょうかね。
そういえばプログラミングに関する章で紹介した『プリンシプルオブプログラミング』に書いてあったプログラミングの原則の1つに整理術にも役立ちそうものがあったので、ここで少し紹介しておきます。
それは「ボーイスカウトの法則」です。
「来た時よりも美しく」という原則で(ボーイスカウトには、山やキャンプ場を訪れた際に来た時より綺麗にしてから帰るという掟がある)、プログラミングをする時も作業終了時には作業開始時よりコードが綺麗な状態になるようにしましょうというものです。
この法則を整理整頓にも当てはめたらきっと身の回りも綺麗になるのではないでしょうか。
というわけで、アナログでもデジタルでもしっかり整理整頓をしましょう。
ちなみに、机やデスクトップが汚い人は十中八九仕事ができません。昔の僕のことです。(今は机周り・デスクトップはだいぶマシにはなりましたが、仕事ができるようになったかと言われれば微妙なところ… 必要条件と十分条件の話ですね。)
わかりやすい文章の書き方
大学院では、論文・学会の予稿・事務的なメールのやり取りなどの文章を書く機会が急激に増えるので、早いうちからわかりやすい文章を書けるようになっておくと良いです。
しかも良い文章が書けると日常的なLINEのやり取りとかも円滑になるのでそういった点でも得します。
わかりやすい文章の書き方を学ぶには『論理が伝わる 世界標準の「書く技術」』を読むのが本当にオススメです。
良い本すぎて正直あまり人にはオススメしたくないと思うレベルで良書です。(ちなみに僕はこの本を読んで文章を書くことの面白さに気づいてこのブログを始めました。)
ただ本を紹介するだけでは面白くないので、個人的にこの本の中で重要だと思った内容を1つ挙げると「既知の内容から未知の内容に繋ぐ」というものです。
具体的には、文章を書く時には「AだからB。BということはC。CだからDになる」のように、多少くどくなっても文章の明瞭さのためには既知の内容を提示してから未知の内容を出すようにしましょう、という話ですね。
他にも文章を書く際に役立つことが数多く書いてあるのでぜひ本書を読んでみてください。わかりやすい文章は正義です。
見やすいプレゼン資料の作り方
大学院に入るとプレゼンをする頻度が増えるので、見やすいプレゼンの資料の作り方を学んでおくと良いでしょう。
僕の場合、大学院に入ってから少なくとも月イチのペースで何かしらの発表をしています。
学部時代にはプレゼンをする機会がほとんどなく卒業研究発表が大学での初めてのちゃんとした発表でしたが、当時はプレゼン資料の作り方の勝手がわからず、資料作成に無駄に時間をかけてしまっていました。
さらに時間をかけた割にダサダサなスライドで、今見返すとダサすぎて恥ずかしくなります。
見づらいダサダサスライドだと聴衆に自分の話が伝わりづらくなってしまうので、良い発表をするためにも綺麗なプレゼン資料の作り方を学んでおくと良いです。
プレゼンの資料の作成は、一度自分なりの型を作ってしまえばそれ以降は使い回せるので、早めから学んでおいて損はしません。
プレゼン資料の作り方を学ぶのは1日もあれば十分なので(少なくとも見ていて恥ずかしくなるレベルを脱することはできるので)、勉強のコスパが非常に高いです。
しかも研究をする多くの人はプレゼン資料作成の勉強をしないので、ちょっと勉強するだけで周りの人と大きく差をつけられます。
勉強のためには『伝わるデザインの基本 よい資料を作るためのレイアウトのルール』がオススメです。研究発表に必要な資料作成のレベルであれば、この1冊で必要十分だと思います。
もうちょっと極めたい方は『ノンデザイナーズ・デザインブック』も読んでみても良いかもしれません。また、現在プレゼン資料の作り方についての記事を執筆中ですので、公開したらぜひそちらも読んでみてください。
プレゼン準備に関する記事を公開しました。渾身の記事なのでぜひ読んでください!
番外編:進路をよく考える
(「学ぶべきこと」ではなくアクションになっていますが、番外編なので許してください。)
研究をしているとついつい視野が狭くなって研究ばかりしてしまいますが、意識的に外の世界も見てみるようにすると良いと思います。
「絶対アカデミアに残る!」と思っている人であっても、ほんの少しだけ民間就職について調べてみると何か発見があるかもしれません。
かく言う僕は民間就職のことは何も考えずに博士課程に進んだ人間ですが、もし修士の頃にちゃんと将来のことを考えていたら、修士の間に民間企業の就活に方向転換するという選択肢もあったかもしれないと今では時々思います。
とはいえ修士の間に脇目も振らず研究に関することだけをしていたからこそ得られたものがたくさんあるはずなので後悔はしていませんが。
ちなみに、私31等星は今のところ博士課程終了後に研究の世界を離れる予定です。その理由を綴った記事はこちら。
僕の就活について綴った記事はこちらです。
まとめ
というわけで今回は「研究する学生が早めに学ぶべきこと7選」と題して、僕が学部生・修士時代に学んでおきたかったことを8つまとめました。
記事を執筆している内に気づけばたくさん本をオススメしてしまっていましたが、他人の書物を引用してしまうのは大学院生のサガ(論文執筆の基本)なのでお許しください。
本記事が若手研究者たちの役に立てば幸いです。
それでは良い研究生活を!
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