【書評・感想】翻訳できない世界のことば

書評

どうも、31等星です。

今回は初の書評をしてみます。

読んだ本を記憶に残すためにはアウトプットすると良いとのことなので自分の備忘録として。

本の要約になってしまうと著作権的にグレーなので、他の場所で学んだ知識とも関連させながら自分の感想メインで書こうと思います。(アウトプットの話に関しては樺沢紫苑さんの『アウトプット大全』にいろいろ書いてありますね。)

タイトルにもあるように、今回の書評の対象は『翻訳できない世界のことば(エラ・フランシス・サンダース)』です。書評の初回なのでまずは個人的に大好きな本を紹介します。良い本なのでぜひ読んでみてください。

それでは早速書評に入ります。

内容に関するところ

この本はタイトルの通り、他の言語には翻訳できない単語がたくさん載っている本です。有名な日本語の単語は「木漏れ日」「わびさび」などです。

この本は絵本のようになっていて、見開きに一つの単語・単語の読み方・意味・挿絵が載っています。

絵本テイストなので小学生でもスラスラ読めるような内容です。(大好きな本と言いつつ難点を1つ挙げると、読み方がカタカナしか載っていなくて本場の発音やアクセントがわからなかったこと。読み方を全部まとめて記事にするのも面白そう。)

本書で個人的に1番好きだった単語はスウェーデン語の「モーンガータ(Mångata)」。意味は「水面に映った月明かりが道のように見えること」です。

この単語を聞くだけで、キャンプをしながら静かな夜に湖に映る月の光を眺めているシーンが想像できます。めちゃめちゃ素敵な単語だと思いませんか?

ちなみに、このモーンガータの語源は Måne (月) +‎ gata (道) で「月の道」を表すようです(出典のリンク)。

音から想像できるように、Måne はMoonと同じ語源です。

さらに語源を深掘りしてMoonの語源に迫ると、MoonはMeh(測る)という語幹から来ているようです。

月を使って暦を「測って」いたことが語源なのがオシャレですね。

さらに面白いのがこのMehはMeasure(測る)との同語源であるところ。

ついでにもう一つ言うと、長さの単位である「メートル」も同じ語源なのがさらに面白いです。

語源は調べ始めるといろんな単語と結びついて面白いので、無限に時間が溶けてしまいますね(現在語源に関する個人的に好きな話も並行して執筆しているので、また今度公開すると思います)。

書評の話からかなり話が逸れてしまったので、このあたりで本題に戻ります。

この本の好きなところ

この本の何が好きかと言うと、世界の解像度が上がるところです。

僕はこの本でモーンガータという単語を知ってからモーンガータが「見える」ようになりました。

同じように今この記事を読んでモーンガータを知った読者の皆さんは、今度から月夜に水面を見た時に「この景色はモーンガータだ!」と思うことができるはずです(本記事のサムネも!)。

最初にサムネを見た時には「月明かり」くらいに認識していたものが、今はモーンガータだと認識できるようになっていますよね。

新しい知識を知ると今まで見えていなかった世界が見えるようになるのが良いなぁと思います。個人的にはそれが知識欲の根源かも。

新しい知識を知ると世界の見え方が変わるという話に関して、ソシュールという言語学の祖が似たようなことを言っています。

彼は「言語が世界を分節する」と言っていて、この意味は「人間は単語を知ることによって世界を分割して認識できるようになる」ということです。学びは世界の解像度を上げてくれますね。

ソシュールについて詳しく知りたい方は、YouTubeチャンネル「ゆる言語学ラジオ」のソシュールに関する動画を見てみてください。

全3回のシリーズになっていて、僕が話した内容に一番関連しているのは第3回の28:23(「ソシュールをやったら人生がよくなった」のチャプター)からのところです。

名称目録的世界観を否定した男・赤ちゃんに戻りたくなる僕ら【ソシュール知ったかぶり講座3】 #18

さらにこれに似たことがデザインの本の名著『ノンデザイナーズ・デザインブック』でも語られていました。

この本の冒頭では「ジョシュアツリーの悟り」という「人は名前を知った途端それが見えるようになる」という筆者の経験が紹介されています。その経験をまとめると次のような感じ。

ある日筆者が読んだ植物図鑑に「ジョシュアツリー」という木が紹介されていて、筆者はそんな木は見たことがないと思っていたけど、その図鑑を読んでから実家の近くの家にジョシュアツリーが植えてあったことに気づいた。という話です。

デザインの上達でも同じで「良いデザインの基本法則を知るとデザイン力が向上する」ということを主張するために語られたエピソードでした。

ちなみにこの「ジョシュアツリーの悟り」はプログラミングに関する本『プリンシプルオブプログラミング』でも引用されています。

『ノンデザイナーズ・デザインブック』も『プリンシプルオブプログラミング』もこちらの過去記事(研究をする学生が学ぶべきこと)で紹介しているので、興味があればそちらの記事もぜひ読んでみてください。

まとめ

初の書評では僕のお気に入りの本『翻訳できない世界のことば(エラ・フランシス・サンダース)』を紹介してみました。

本記事のキーポイントは「世界の解像度が上がるのが良い」という1行のみです。

本書よりむしろ『ノンデザイナーズ・デザインブック』からの方が引用量が多いですね。

著作権的に自信をもってセーフと言える内容で一安心です。

本書の内容はほとんど引用しませんでしたが、世界の解像度を上げたい人はぜひ読んでみてください!

これからも著作権法に触れない範囲で書評をしていこうかなと思います。

それではまた次の記事でお会いしましょう。

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