博士課程で1年過ごして感じた博士課程の4つのメリット・デメリット

研究

みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは。31等星です。

今回は、僕が博士課程で1年間過ごして感じた博士課程のメリット・デメリットを4つずつお話しします。

これから博士課程に進学するかどうか決める学部生・修士の学生の参考になれば幸いです。

ぜひメリット・デメリット双方を検討してから博士進学を決めてみてください。

また、現在博士課程に在籍している人や既に博士進学が決まっている人も、読み物として読んで共感したりしなかったりしてくれると嬉しいです。

ちなみに僕は普通の企業で働いた経験がないので、博士課程側からの視点しか語れませんが悪しからず。

それでは早速本題です。

メリット4つ

自分が好きな研究ができる

その分野に魅力を感じてその研究をしたいと思って博士課程に進んだわけなので、好きなことの研究ができるのはもちろん楽しいですね。

特に僕のように基礎科学の分野が専攻の場合は、普通の企業にいてはできない研究内容なので、そういった研究ができるというのは博士課程の1番の魅力だと思います。

また、僕は昔から虹とかオーロラとかの自然現象が好きだったので、理学の研究をすることを通じてそういった現象をより深く理解できるようになるというのもおもしろいところだと思っています。

英語力・海外の知識がつく

海外出張・国際学会・留学生とのお喋り・英語での論文の読み書きを通じて、英語力がついた、英語に抵抗がなくなったことも博士課程のメリットだと思います。

これは普段の生活で何かをググるときとかにも役立ってます。

例えば、日本語のWikipediaにはほとんど書いてないことも英語のWikipediaにはたくさん情報が書いてあるということもよくあるので、そういった点でも英語に抵抗がないというのはとても便利です。

また、海外出張をしたり留学生と喋ったりすることで色々な海外の文化を知れるのも博士課程の魅力の一つだと思います。

(どれくらいの留学生が大学にいるかは大学次第ですが。弊学は割と留学生多めです。)

普通に日本で生きていたら知ることのできない文化を知るのはとても楽しいです。

このご時世だと海外出張はあまり行けないので、留学生から聞いた自国の話で印象に残っているものを3つ共有してみます。

博士課程のメリット・デメリットの話からは少し逸れますが、個人的におもしろいと思ったことなのでぜひ読み物として読んでみてください。

海外の興味深い話1:インドのホーリー祭

この記事を公開した日の前日3/18はインドの祝日で、ホーリー祭というお祭りが行われる日でした。

日本で言うところの春分の日みたいなものらしいです。

この春の訪れを祝うホーリー祭はカラフルなお祭りで、祭りの参加者同士が誰彼かまわず色のついた粉や水を掛け合うというエキサイティングなお祭りです。

こちらがそのホーリー祭の様子の動画です。めちゃめちゃ楽しそう。)

とてもおもしろい文化ですよね。

こういう狂った(褒め言葉)お祭り、死ぬまでに1回体験してみたい。

海外の興味深い話2:インドネシアのボディラフティング

インドネシアのグリーンキャニオンパンガンダランというところで、ボディラフティングというものを体験できるそうです。

普通のラフティングではゴムボートに乗って川下りをしますが、ボディラフティングは救命胴衣のようなものを着てそのまま川に入って川下りをするようです。

これもいつか体験してみたいですね。

インドネシアは物価も安いですし他にもバリ島など魅力的な観光地があるのでいつか行ってみたいです。

海外の興味深い話3:台湾の兵役

台湾には兵役の制度があって、そこでは理不尽な訓練(?)をたくさんさせられるそうです。

台湾の留学生から聞いていて一番おもしろかったのが、雨の日に水溜りの掃除を延々とさせられた話です。

掃除しても掃除してもすぐに水が溜まってくるので一生掃除が完了することがないという……

教官がやめていいと言うまでひたすら水溜りを掃除し続けるんだとか。

その台湾の留学生は「あの訓練は本当に意味がわからなかった!!!」と言っていました。

他人事だから笑って聞けますが、絶対自分ではやりたくないですね。

こんな感じで、いろんな海外の文化を聞けるのが博士課程のメリットの1つだというお話でした。博士課程のメリット・デメリットの話に戻ります。

物事をわかりやすく伝える力が身につく

自分の研究を周知するために論文を書いたり研究発表をしたりすることで、人に物事をわかりやすく伝える能力がつくことも、博士課程にいるメリットの1つだと思います。

研究をしていると、自分の研究の成果、すなわち「世界で初めての発見」という難しい概念を他人にわかるように説明しないといけない機会が多くあるので、伝える力というのが自然と磨かれます。

人に物事をわかりやすく伝える力というのは、企業に勤めるにしても普通に人と会話するにしても役立つので非常に良いポータブルスキルだと思っています。

自由がある

これはコアタイムのない研究室限定ですが、基本的に好きな時間に好きなことができます。

僕は時々居室で一般向けの科学の本とかプログラムの書き方の本とかを読んでいます。

また好きな時に休憩もできるので、疲れた時にキャンパスを散歩したり居室のソファで昼寝したりすることもあります。

あと最近は土日に研究をして平日に休むのにハマっているんですが、平日はお店が空いているので快適ですね。

コアタイムがないみなさんもぜひ時々平日を休日にしてみてください。

デメリット4つ

休んではいけないという強迫観念

自分が休んでいる間に別の学生は研究をして成果を出しているのかもしれないと思うと、自分には休んでいる暇などいのではないかという気持ちになってしまうのが、僕が感じる博士課程での1番のデメリットです。

(こんなブログを書いている暇があるなら研究しろというツッコミは勘弁してください🥺)

アカデミアの世界は結局成果を出したもの勝ちなので「自分は悠長に休んでいて良いのか?」という気持ちが常に頭の片隅にあります。

日々自身の研究の進捗がないことに焦りを感じてしまいますね……

特に僕は学部生の頃に非常に不勉強だったので博士課程に進学した後でも基礎的な勉強の復習に時間を割かないといけないということもあって、目に見える研究の進捗がなくて焦ってしまいます。

でも、こういった恒久的な焦燥感は競争社会にいると多かれ少なかれ感じてしまうものだと思うのでアカデミアに限った話ではないのかもしれません。

お金がない

基本的に博士課程は金銭的に厳しいです。

学振や大学院のプログラムを取らないと収入ゼロ、そういうところからお金をもらっていたとしても学費や保険料の支払いなどで色々引かれるので手取りはそんなに多くありません。

普通の企業であれば家賃補助などの福利厚生もあるので「実質の給料」のようなものを考えると、修士卒で企業で働けば1年目の給料すら学振からの給料の2倍近くになると思います。

なので、ある程度お金をたくさん稼いで良い暮らしをしたいという人は博士課程はやめておく方が懸命なのかもしれません……

もう少しアカデミアの境遇が良くなってほしいものですね。

余談ですがこの間博士の同級生と「博士課程の人全員が月20万円の給料、学振を取ればさらにプラスαというシステムになってくれたら良いのにねぇ」って話をしていました。

それならきっともっとたくさんの人が博士課程に進学して日本の科学が発展するのになぁと思います。

幸いなことに、最近は国が頑張って博士課程向けの資金援助システムを増やしているおかげで、無給の博士学生が減ってきているみたいですが。良い傾向ですね。

遊ぶ友達が減る

これは地方大学の場合限定かもしれませんが、修士までの同級生の多くが就職で東京とかに行ってしまうので遊べる友達が急激に減ってしまいます

博士進学前からそうなることは予想していましたが、博士に入ってから人と遊ぶ頻度がめちゃめちゃ減ったのを実感しました。

仲良かった修士までの友達たちが東京で集まって楽しそうにしているSNSの投稿なんかを見ると羨ましいなぁって時々思うことがあります。

まぁでも友達が少ないと研究に集中できるので、そういう意味ではメリットだとも言えるのかもしれません。

かの有名なパブロ・ピカソも「深い孤独がなければ、まともな作品は作れない」と言っていますし。

僕は一人で過ごすのがめちゃめちゃ好きな人間なので友達が減ったことはそこまで問題ではないのですが、人と会うのが好きな方はどうにかして研究室以外のコミュニティを確保しておくことをオススメします。

こちらの投稿に激しく同意。同期がたくさんいた街が良い街。

将来が不安

博士課程にいると時々将来が不安になります。

このまま3年間で博士号が取れるのか、アカデミアに残るとしたら自身の能力で生き残っていけるのか、普通の企業に就職するとしたら博士であるということが足枷になってしまわないか、などと時々考えてしまいます。

でもまぁ博士課程の学生に限らず人間誰しも将来に対する不安は少なからずあると思うのでしょうがないんですかね。

将来の僕は何をしてるんでしょうか。

最近は自身の能力的にアカデミアで生き残っていくのは厳しそうだとしばしば思うので、8割方僕は普通の企業に就職するんだろうなぁと思ってはいます。

就活することになったら博士就活ブログでも書いてみるか〜。

まとめ

というわけで今回は、博士課程を1年間過ごした僕が感じた博士課程のメリット・デメリットを4つずつ紹介しました。

割とデメリットも書きましたが、僕は博士課程に進学したことは全く後悔していません。

メリットの欄にあるように、僕は博士課程は貴重な経験ができる楽しいところだと思っているので、博士課程に興味がある人はぜひぜひ博士進学を検討してみてください。

この記事が博士進学に迷っている人の参考になれば幸いです。

来年度の終わりにも同じような記事を書いてみようかな。

それではまた!

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